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王様の耳はロバの耳!//Since 2005-10-09
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2008/02/17 (Sun) ようやっと好意的なコメントがもらえたのでこっちに転載しとく。14日に書いたSS。

途中でなんか展開がワープしてるのは無視してくだしあ。






予定は去年と同じだった。
持ち前の図々しさで女の子から義理チョコを巻き上げようとしていた。それだけでよかったんだ。
なのに今年はどういうわけなのか。

朝、登校してすぐに机の中を確認した時点でそれはすでにあった。
「放課後に図書室で待つ」という旨の手紙。チョコレートらしき箱は見当たらない。
ちなみに俺は学校に来るのが早い方で、教室に着いた時にはまだクラスメートはほとんど来ていなかった。
というか、一人しかいない。

どうしてこんな回りくどいことをするのかとその場で問い詰めたくなったが、俯いて机に広げたノートを見つめる彼女は、意地でも今は顔を上げないぞとでも言っているようだったので結局朝声をかけることは諦めた。
そして今日は授業が終わるまで、彼女とは会話はおろか目を合わせることさえなかった。
一日中なんとなく気持ちがふわふわしていた俺は、予定していた義理チョコの回収をすることができなかった。

放課後。彼女がカバンを持って教室を離れるのを見送った後、できるだけ友人達に見つからないように俺も図書室へ向かった。
一冊一冊の本が音を吸い取っているかのような独特の静寂の中、しかし彼女は口を開かない。
堪えきれず先に俺から「待った?」と聞いてみた。2分ほどしか待たせていないのは自明の理なのだが。
それからさらにしばらく間をおいて、ようやく彼女は今日初めて口をきいてくれた。
「ううん…それよりわざわざ呼び出しちゃってごめんね」
「いや、別にいいよ。…今日は予定なんか無いしね」
「渡したいものがあって」
俺の軽口を受け流し、少し早口に彼女は予想通りの台詞を口にした。
「…実は俺、甘いものが苦手でね」
この時俺の口をついて出た言葉は、いたずら心からだったのか、あるいは強がってみたかったからなのか解らない。ただ運命的だったとは思う。
彼女は一瞬動揺したように見えたが、その後くすっと微笑んでこう言った。
「そう言うだろうと思って……」
手に持っていた箱をカバンに戻し、こちらに近づいてくる。

「レモン味の、こっちにしたんだ」

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